昨年、父を亡くした。
喪中はがきを作る段になって、父のことを書いておきたいと思った。
続けて今年、母を亡くした。
同じように喪中はがきを作ろうとして、何度も手が止まった。
父と同じように、母の若い頃のエピソードについて書けばよかったのかもしれない。
画家の娘として育った話や、新聞記者を諦めた話、短大を卒業後もゼミの先生との読書会を何十年も続けていたこと、字が綺麗だったこと、漢字やことわざは辞書を引かずとも母に聞けばすぐにわかったこと・・・
けれど、どうしても、この日のことを書きたかった。
真っ先に浮かんだのは、このときの母の姿だったから。
刷り上がったものが、今日、自宅に届いた。
今度は、宛名を早く書かなければならない。
住所録をデータにしておけばよかったと、
今年も同じことを思いながら、
母のものと、父のもの、
二枚の喪中はがきを並べて、
また、書く手が止まっている。